国史跡しせきの心合寺山古墳しおんじやまこふんは、全長約160メートル、5世紀に造つくられた中河内かわち最大の前方後円墳ふんで、造つくられた当時の姿すがたに復元ふくげんしています。古墳こふんからは甲冑かっちゅうや鏡などの副葬品ふくそうひん、家や盾たて、にわとりなどのかたちの埴輪はにわが出土しています。隣接りんせつするしおんじやま古墳こふん学習館では、心合寺山古墳しおんじやまこふんの案内・展示てんじ、体験学習など楽しく歴史れきしを学べます。

久宝寺きゅうほうじ寺内町じないまちは、周囲しゅういに堀ほりをめぐらし、室町時代から江戸時代にかけて顕証寺けんしょうじを中心にして発展はってんした町です。現在げんざい も白壁しらかべやむしこ窓まどをもつ建物、碁盤ごばんの目のような路地など伝統的でんとうてきな町並なみが残っています。
八尾市には、久宝寺きゅうほうじ寺内町じないまちのほか、八尾寺内町じないまち、萱振かやふり寺内町じないまちが残っており、八尾のなりたちを考える上で重要です。

旧植田家住宅きゅううえだけじゅうたくは江戸えど時代（1704年）の大和川付け替かえに伴ともない、新たに開発された安中新田を管理するための「会所」の建物を継承けいしょうした歴史的れきしてきに貴重きちょうな建物です。
展示てんじ室では旧きゅう植田家所蔵しょぞうの古文書こもんじょや絵画、民具などを展示てんじしています。

今から1400年ほど前、蘇我氏そがし・聖徳しょうとく太子の連合軍と、当時の有力な豪族ごうぞくであった物部守屋もののべのもりやとの間で争いが起こり、八尾が戦いの場となりました。
聖徳しょうとく太子は四天王寺像ぞうをつくって戦いに勝つように祈いのり、物部氏に勝利したことから、戦いのあった場所に大聖勝軍寺たいせいしょうぐんじを建立こんりゅうしたといわれています。

奈良なら時代の高僧こうそう・道鏡どうきょうは、八尾市南部の「弓削ゆげ」のあたりを拠点きょてんとしていた弓削ゆげ氏の出身です。厳きびしい修行しゅぎょうを積つみ称徳天皇しょうとくてんのうに重用ちょうようされて、太政大臣禅師だじょうだいじんぜんじから法王ほうおうの位にまでのぼりつめました。
称徳天皇しょうとくてんのうは、道鏡の出身地に由義宮ゆげのみやをつくり、たびたび行幸ぎょうこう（天皇てんのうが出かけること）しました。

平安時代の六歌仙ろっかせんのひとりで、情熱的じょうねつな和歌を詠よむ歌人。神立辻こうだちつじの茶屋「福屋」の娘むすめに恋こいをした彼かれは、「業平の高安通い」という伝説を八尾の地に残しました。

室町時代から戦国時代にかけて、蓮如上人れんにょしょうにんが親鸞聖人しんらんしょうにんの教えを人々に説き、本願寺の興隆こうりゅうの礎いしずえをつくりました。
久宝寺きゅうほうじ村で布教ふきょうし、その盛況せいきょうな様子は「帰するもの市のごとし」と伝わっています。
蓮如れんにょ上人は、久宝寺御坊きゅうほうじごぼうとも呼よばれる顕証寺けんしょうじの前身である、西証寺せいしょうじを建立こんりゅうしました。その後、蓮如れんにょ上人の息子実順じつじゅんや蓮淳れんじゅんによって、久宝寺きゅうほうじ寺内町が整えられていきました。

作家・僧侶そうりょ・政治家せいじか・易学者えきがくしゃ・画家として活躍かつやくするなど、多くの才能さいのうを発揮はっきしました。
昭和26年(1951年)から昭和50年(1975年)まで八尾に住み、昭和32年（1957年）小説「お吟ぎんさま」で直木賞しょうを受賞じゅしょうしました。
作家として、尊敬そんけいしている谷崎潤一郎たにざきじゅんいちろうさんや、一生の友となるノーベル賞しょう作家の川端かわばた康成やすなりさんをはじめ、大正・昭和期に活躍かつやくした方々との交流が広く、「悪名あくみょう」「こつまなんきん」「河内風土記かわちふどき」など河内人の気質きしつや人情にんじょうを題材にした八尾に関する小説も100以上残されています。